【オカリナエピソード】天国へ贈るオカリナの調べ

堀山の家

こんにちは。
山のオカリナ吹き、土方 善文(ヒジカタ ヨシフミ)です。

今回は、親しかった山小屋のご主人との永遠の別れについてのエピソードをお届けします。

ある日、山仲間から一通のメールが届きました。
メールの内容は、親しくしていた山小屋のご主人、ヒゲさんが亡くなったという知らせでした。
白く長いヒゲを生やしていたので、ヒゲさんと呼ばれていました。

僕は行くところがないと、よくこの山小屋に足を運んでいました。
ヒゲさんはいつも、「としぞ〜、おかえり」、と家族として迎えてくれたものでした。
僕の名字が土方なので、新選組の土方歳三にちなんで山仲間からは「としぞー」と呼ばれていました。

堀山の家

僕はその知らせを聞いたとき、「ああ、間に合わなかった」と思いました。
オカリナを上手く吹けるようになったら、ヒゲさんに聞いてもらおうと思っていたからです。

ヒゲさんはとても物知りな人でした。
あるとき、テントの中で寝ていると、遠くのほうから、ドシーン、ドシーンと歩く音が聞こえてきました。
そのことをヒゲさんに話してみたところ、「それは、だいだらぼっちが歩く音だよ。」と教えてくれました。
ヒゲさんは山のいろいろな話をたくさん聞かせてくれました。

僕は山仲間と二人で、山小屋へお線香を上げに行きました。
その日は雨で、僕たちの心の中を表しているかのようでした。
山小屋に到着すると、ヒゲさんの奥さんが迎えてくれました。
それから女性の登山客が一人いらっしゃいました。

奥さんはにこやかだったので、意外に大丈夫そうだと思いました。
僕たちは、ヒゲさんが山小屋で倒れてから亡くなるまでの一部始終を聞きました。

お線香を上げた後、「実は、オカリナをやっているんです。ヒゲさんに1曲贈りたいのですが、演奏していいですか?」と伺いました。
是非に、ということで、宗次郎の「森に還る」を演奏しました。

堀山の家

演奏が終わると、先程までにこやかだった奥さんの目が真っ赤になっています。
女性の登山客の方も目頭を抑え、ひとこと仰いました。
「最近亡くなった父を思い出しました。ありがとうございました。」
僕たちも涙が出てきて、みんな泣いていました。

オカリナの音色は、聴く人の心にすーっと沁みこんでいくように思います。
瞼を閉じれば、ヒゲさんがにっこり微笑んでいる姿が目に浮かぶようでした。

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